エルダーフラワーをとりに。
先週末、森へエルダーフラワーを取りに行きました。
甘くかつ爽やかな香りのする花です。
薬効があり、感冒に効くとされ、デトックス効果やリラックス効果などがあるそうで、
シロップやハーブティーなどに利用されます。
子供が小さい頃は毎年作っていたのですが、ここ2,3年はご無沙汰していました。
今年は復活せさるのも良いなと思い、花が咲き切らないうちに、いざ森へ!と出かけました。
割合、木の高いところに花が咲いているので、枝をつかみ花を引き寄せて、採取。
花を取ると黄色い花粉が飛んで、ふわっと良い香りが更にしました。
日の当たっているところに咲いている花は、より香りが強いようでした。
日差しは強いけれど、気持ち良い風が吹いて、エルダーフラワーの花の香に包まれ、爽やか極まりない、と思う週末の午後でした。
花のうえに乗っかって、なにやら食事中らしき虫も発見。
シロップを作る作業していると、家の中に花の香りが充満して、なぜだか懐かしい気分になりました。
思い起こしてみると子供の頃、父に連れられて、山の中できのこ取りだの、ギョウジャニンニクだの、ウドやらタラの芽、コケモモなど、さんざん拾って歩いていました。
季節の植物の匂いや味は、すっと体になじむ感じがします。
出来上がったシロップは、水で割って飲んでも良し、お茶に入れても良し、夏の間に重宝します。
秋になって風邪をひきそうな時期には、残念ながら残ることは、めったにありません。
今年はどうでしょうか。
絵本原画制作、終了。
描き終わりました、絵本原画。
原画のデータを編集者の方に送って、チェックして頂いている最中ですので、
修正が生じることもありますが、とりあえず制作は、ほぼ終わりとなりました。
描き終わると、いつもちょっと寂しい感じがします。
絵を描いている最中は、物語の中で遊ばせてもらっている感じがあって、そこからサヨナラをする気持になるような。
出版は秋ごろの予定です。
でも次は、大好きな民話の仕事に取りかかれる! 今度もハンガリー民話です。
スロバキア民話も、いいのがあったら、ぜひやりたいなあ。
候補はあるけれど、企画が通るかどうかは、まだわかりません。
創作絵本より、色々気を付けることがあって、苦労が多いのですが、なんだかやめられない。
民話が採集された地域をしらべ、そこの土地の民族衣装や建築物の資料を探したりなど、押さえておくべき大事なポイントがあります。
でもそうやって調べて、民話の背景を知っていくことが、とても楽しいのです。
ラフスケッチが一段落したら、また図書館で新たな民話探しをしたいなと思います。
しばらく図書館に行っていないので、本に囲まれた空間に、身を置きたいな。
古い本の匂いが、また良いのです。
絵を描いているうちにどんどん季節は変わり、外は花が咲いていて、淡いパステルカラーの風景が広がっています。
白い花がいっぱい咲いていて、ほんときれい。 たぶん日本語でいえば、杏子の花の類だと思われます。
つぼみの絵を描きたかったので、小さい枝を失敬してしまったのですが、部屋の中が暖かいため、あっという間に花が咲いてしまいました。
ちょっと一服
3月に絵本の締め切りが迫り、原画制作以外は後回し気味になっています。
細かく描き込む絵が後半のページに集中しており、描くのは楽しいけれど、肩こりが半端ではない状態に。
ちょいと一息と思い、お茶を入れて居間のテーブルに置いて、キッチンで洗い物をしていると、息子の呼ぶ声が。
「ちょっと、これ、きれいだよ!」
よれよれしながら居間へいくと、
窓から差し込む強い西日が湯気にあたって、揺らめく虹がお茶の上にあらわれていました。
おお、これは綺麗!
じーっとしばらく観察。
あ、写真撮ったらきれいかな、と思ったときには、湯気はもう減り始めておりました。
呼んでくれてありがとう、息子。素敵なものが見られました。
ウクライナといえば。
昼飯の最中、夫が昨晩見たという映画の話をし始める。
ウクライナの東部の紛争地帯の話だ。
話が怖くて暗くて、ご飯の味が分からなくなる。
隣の国で、戦争があるということ。 隣の国だとしても、そのリアリティを想像することは難しい。
戦争についての情報は私の頭の中にあっても、それを体験するということとは、ものすごい差があるんだろうということぐらいしか、分からない。
何年か前に、ビザの更新をする日本人の通訳を頼まれ、外国人警察署に出向いた折に、クリミア半島からやってきたウクライナ人と話をする機会があった。
ロシアとの併合後のことだ。
警察との交渉がうまくいかず、うんざりしていたところに、大変だったね、何か飲む?、と自分の水筒からお茶を勧めてくれたのだった。
システムがうまく機能していない国に暮らし、手続の苦労や理不尽さをよく知っている人独特の、ねぎらうような、連帯を示すようなフレンドリーさだった。
“クリミアからきた”という彼の言葉に思わず、ロシアとの併合がきっかけでこっちへ?と聞いてしまう。
彼は、うーんそれもあるけど、もともと“西”へ来たかったんだ、と言う。
スロバキアはどう? 住みやすい? と尋ねると、
彼は、スロバキアに来れて本当に良かったと、心底嬉しそうに話した。あそこにいたら、何もできない、将来がない、でもここは選ぶ自由がある、と。
彼の様子から、開放感、という言葉が浮かんだ。
生まれ故郷に見切りをつける気持ちも、私にとって未知のものだと思った。
スロバキアに留学中、課題でスロバキア民話の挿画をやって以来、民話にとても興味が湧き、暇を見つけては民話の本を読んでいる。
民話のストーリーは、話の辻褄が合っていないようでも、妙な説得力があって、話の骨太さを感じる。
ウクライナ民話も家に数冊あって、動物が出てくるお話が、特に生き生きとしていて可愛いと思う。日本でも「てぶくろ」や「セルコ」など訳されている。
私が再話、絵を描いた絵本「きつねどん」も、ハンガリー民話ではあるが、採集された地域はウクライナの西部、ウジュホロドのあたり。
イノシシが
微妙にロックダウンが緩和されている。12月頭よりはマシだけれど、感染者数はかなりの数なので、なぜ今?と思う。
クリスマス前だからだろうか。
でも、どこかに出かける気にはならないし、森への散歩も、ここ最近イノシシが増えたらしく、なんとなく一人で行くのが躊躇われる。 鈴でもつけて歩くと良いのだろうか。
クマ除けならぬ、イノシシ除けの鈴。
雪が降る前、森へ夫と散歩に行った折、イノシシが一頭、すぐ近くにいたらしいのだが、はっきりと姿が見えなくて残念だった。遭遇はあまりしたくないけれど、せっかく近くにいたのなら、しっかり姿を見たかった。 今度は眼鏡をかけていこうと思う。
その日、私はぼんやりしていたし、反対に夫は森に入る手前の道で、溶けてまた固まったチョコレートみたいにカチカチに凍った泥の上に、無数のイノシシの足跡を発見して警戒していた差もあるかもしれない、とも思う。
夫の言によると、かなりの大きさだったとのこと。
私たちに気づいて、すぐ走り去ったようだった。
その後、東部の町で女の人がイノシシに追い回されたという新聞記事を読む。
個体差なのか、気が立っていたのか、状況が悪かったのか。
むかーし、息子の友達が「イノシシに追いかけられたら、ジグザグに走って逃げればいいんだよ!」と言っていたことを思い出す。 可愛いなあ。
確かに猪突猛進というけれど、残念ながら、実際は俊敏な動物だそう。策、破れたり。
雪が降って、森が綺麗だから散歩に行こうと思い、恐る恐る一人で森の中へ行った。
長い斜面で男の子二人がそりに乗って、大声をあげていたので、よいイノシシ除けになってくれたと思い、せっせと雪道を歩く。 うっすら雪が降って、視界はぼんやり、白とグレーの世界にうっとりとする。